ナノファブリケーションにおいて,マイクロチップのサイズを左右する基本的なパターン形成ステップがフォトリソグラフィーです。フォトリソグラフィーの間,短波長の光の量が,画像を介して光学系によって調整され,基板(通常はシリコン)を覆う感光性物質の薄膜に照射する光を多くすることで薄膜のサイズを小さくしていきます。利用可能な基板の表面領域がすべて同じ画像で露出されるまでこのステップを繰り返します。このステップでできたものを層と呼びます。チップを形成する複雑な微細構造を作成するには,この露出した層が複数必要になります。層の間の接続の不具合による歩留まりの問題が生じないように,層の間のすべてのパターンを想定したとおりに整列させなければなりません。
スループットに影響を与えずに層のアライメントを確実にするために,ASMLのTWINSCANフォトリソグラフィーシステムでは,露光ステップの前に測定するアライメント用のマークの数を制限する必要があります。一般に,アライメント用マークの測定に,シーケンス内で一つ前のウエハーの露光に要する時間よりも長い時間をかけることはできません。バーチャルメトロロジーの重ね合わせモデルを適切に修正するには多くの重ね合わせマークが必要となるため,TWINSCANシステムで処理したウエハーをすべて測定することは不可能です。
ASMLは,MATLAB®と统计和机器学习工具箱™を使用して,バーチャルメトロロジーによる重ね合わせ計測ソフトウェアを開発しました。このソフトウェアでは機械学習手法を応用しており,すべてのウエハーについて,アライメント計測データから重ね合わせ計測を予測することが可能になっています。
“MATLABと機械学習を応用したことで,既存の計測を最大限に活用するという点において,業界でのリーダーシップを実証することとなりました。この取り組みを文書にして発表したところ,ASML製品で製造プロセスを改善したいというお客様からたくさんの関心が寄せられました”(ASMLのアプリケーション開発エンジニア埃米尔Schmitt-Weaver氏)