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ガンマ分布

概要

ガンマ分布は、2 パラメーターの曲線群です。ガンマ分布は、指数分布に従う確率変数の和をモデル化し、カイ二乗分布と指数分布を一般化します。

Statistics and Machine Learning Toolbox™ には、ガンマ分布を処理する方法がいくつか用意されています。

  • 確率分布を標本データにあてはめる (fitdist) かパラメーター値を指定する (makedist) ことにより、確率分布オブジェクトGammaDistributionを作成します。そして、オブジェクト関数を使用して、分布の評価や乱数の生成などを行います。

  • Distribution Fitterアプリを使用して、ガンマ分布を対話的に処理します。オブジェクトをアプリからエクスポートしてオブジェクト関数を使用できます。

  • 分布パラメーターを指定して,分布特有の関数(gamcdfgampdfgaminvgamlikegamstatgamfitgamrndrandg) を使用します。分布特有の関数では、複数のガンマ分布についてのパラメーターを受け入れることができます。

  • 分布名 ('Gamma') とパラメーターを指定して、汎用の分布関数 (cdficdfpdfrandom) を使用します。

パラメーター

ガンマ分布は、次のパラメーターを使用します。

パラメーター 説明 サポート
a 形状 a> 0
b スケール b> 0

標準ガンマ分布は単位スケールです。

形状パラメーターが a1および a2で、スケール パラメーターがいずれも b である 2 つのガンマ確率変数の和は、形状パラメーターa = a1+ a2、スケール パラメーター b のガンマ確率変数になります。

パラメーター推定

"尤度関数" は、パラメーターの関数として見た場合の確率密度関数 (pdf) です。"最尤推定量" (MLE) は、xの値を固定した状態で尤度関数が最大になるパラメーター推定値です。

ガンマ分布の a および b の最尤推定量は、次の連立方程式の解です。

log a ^ ψ ( a ^ ) = log ( x ¯ / ( i = 1 n x i ) 1 / n ) b ^ = x ¯ a ^

ここで、 x ¯ は標本x1, x2, …, xn,の標本平均で、Ψ はディガンマ関数psiです。

ガンマ分布をデータにあてはめてパラメーター推定値を求めるには、gamfitfitdistまたはmleを使用します。パラメーター推定を返すgamfitおよびmleと異なり、fitdistはあてはめた確率分布オブジェクトGammaDistributionを返します。オブジェクト プロパティaおよびbにはパラメーター推定が格納されます。

たとえば、データへのガンマ分布のあてはめを参照してください。

確率密度関数

ガンマ分布の確率密度関数は次のようになります。

y = f ( x | a , b ) = 1 b a Γ ( a ) x a 1 e x b ,

ここで、Γ( · ) はガンマ関数です。

たとえば、ガンマ分布の確率密度関数の計算を参照してください。

累積分布関数

ガンマ分布の累積分布関数 (cdf) は次のようになります。

p = F ( x | a , b ) = 1 b a Γ ( a ) 0 x t a 1 e t b d t .

結果 p は、パラメーター a および b をもつガンマ分布に従う単一の観測値が区間 [0 x] に含まれる確率です。

たとえば、ガンマ分布の累積分布関数の計算を参照してください。

ガンマ cdf は、次によって、不完全ガンマ関数gammaincと関連付けられます。

f ( x | a , b ) = gammainc ( x b , a ) .

逆累積分布関数

ガンマ分布の逆累積分布関数 (icdf) をガンマ累積分布関数で表すと、次のようになります。

x = F 1 ( p | a , b ) = { x : F ( x | a , b ) = p } ,

ここで

p = F ( x | a , b ) = 1 b a Γ ( a ) 0 x t a 1 e t b d t .

結果 x は、パラメーター a および b をもつガンマ分布に従う観測値が p の確率で範囲 [0 x] に含まれるような値です。

上記の積分方程式には、既知の解析的な解は存在しません。gaminvは、解の収束に反復アプローチ (ニュートン法) を使用します。

記述統計

ガンマ分布の平均はabです。

一様分布の分散は ab2です。

データへのガンマ分布のあてはめ

形状3、スケール5100個のガンマ乱数の標本を生成します。

x = gamrnd(3,5,100,1);

fitdistを使用してガンマ分布をデータにあてはめます。

pd = fitdist(x,'gamma')
pd = GammaDistribution Gamma distribution a = 2.7783 [2.1374, 3.61137] b = 5.73438 [4.30198, 7.64372]

fitdistは、GammaDistributionオブジェクトを返します。パラメーター推定の横にある区間は分布パラメーターの 95% 信頼区間です。

分布関数を使用して、パラメーターabを推定します。

[muhat,muci] = gamfit(x)% Distribution specific function
muhat =1×22.7783 5.7344
muci =2×22.1374 4.3020 3.6114 7.6437
[muhat2,muci2] = mle(x,'distribution','gamma')% Generic function
muhat2 =1×22.7783 5.7344
muci2 =2×22.1374 4.3020 3.6114 7.6437

ガンマ分布の確率密度関数の計算

いくつかの形状パラメーターとスケール パラメーターを使用して、ガンマ分布の pdf を計算します。

x = 0:0.1:50; y1 = gampdf(x,1,10); y2 = gampdf(x,3,5); y3 = gampdf(x,6,4);

pdf をプロットします。

figure; plot(x,y1) holdonplot(x,y2) plot(x,y3) holdoffxlabel('Observation') ylabel('Probability Density') legend('a = 1, b = 10','a = 3, b = 5','a = 6, b = 4')

Figure contains an axes. The axes contains 3 objects of type line. These objects represent a = 1, b = 10, a = 3, b = 5, a = 6, b = 4.

ガンマ分布の累積分布関数の計算

いくつかの形状パラメーターとスケール パラメーターを使用して、ガンマ分布の cdf を計算します。

x = 0:0.1:50; y1 = gamcdf(x,1,10); y2 = gamcdf(x,3,5); y3 = gamcdf(x,6,4);

cdf をプロットします。

figure; plot(x,y1) holdonplot(x,y2) plot(x,y3) holdoffxlabel('Observation') ylabel('Cumulative Probability') legend('a = 1, b = 10','a = 3, b = 5','a = 6, b = 4',"Location","northwest")

Figure contains an axes. The axes contains 3 objects of type line. These objects represent a = 1, b = 10, a = 3, b = 5, a = 6, b = 4.

ガンマ分布と正規分布の pdf の比較

ガンマ分布には、形状パラメーター a とスケール パラメーター b があります。 a が大きくなると、ガンマ分布は平均 μ = ab および分散 σ 2 = a b 2 をもつ正規分布に近づきます。

a = 100およびb = 5の各パラメーターを使用してガンマ分布の確率密度関数を計算します。

a = 100; b = 5; x = 250:750; y_gam = gampdf(x,a,b);

比較のために、ガンマによって近似される正規分布の平均、標準偏差、pdf を計算します。

mu = a*b
mu = 500
sigma = sqrt(a*b^2)
sigma = 50
y_norm = normpdf (x,μ、σ);

ガンマ分布と正規分布の確率密度関数を、同じ Figure にプロットします。

plot(x,y_gam,“- - -”,x,y_norm,'-.') title('Gamma and Normal pdfs') xlabel('Observation') ylabel('Probability Density') legend('Gamma Distribution','Normal Distribution')

Figure contains an axes. The axes with title Gamma and Normal pdfs contains 2 objects of type line. These objects represent Gamma Distribution, Normal Distribution.

正規分布の pdf はガンマ分布の pdf に近づきます。

関連する分布

  • ベータ分布— ベータ分布分布は、2 パラメーターの連続分布です。a (1 番目の形状パラメーター) および b (2 番目の形状パラメーター) のパラメーターをもちます。X1および X2が、それぞれ形状パラメーター a1および a2をもつ標準ガンマ分布に従う場合、 Y = X 1 X 1 + X 2 は、形状パラメーターが a1および a2であるベータ分布に従います。

  • カイ二乗分布— カイ二乗分布は、1 パラメーターの連続分布です。ν (自由度) のパラメーターをもちます。カイ二乗分布は、2a = νかつb = 2のガンマ分布と等しくなります。

  • 指数分布— 指数分布は、1 パラメーターの連続分布です。μ (平均) のパラメーターをもちます。指数分布は、a = 1かつb = μであるガンマ分布と等しくなります。平均 μ をもつ指数分布に従う k 個の確率変数の和は、a = kおよびμ = bのパラメーターをもつガンマ分布になります。

  • 仲上分布— 仲上分布は、2 パラメーターの連続分布です。形状パラメーター µ およびスケール パラメーター ω をもちます。x が仲上分布である場合、x2a = μおよびab = ωであるガンマ分布になります。

  • 正規分布— 正規分布は、2 パラメーターの連続分布です。μ (平均) および σ (標準偏差) のパラメーターをもちます。a が大きいとき、ガンマ分布はμ = abかつσ2= ab2の正規分布に近づきます。たとえば、ガンマ分布と正規分布の pdf の比較を参照してください。

参照

[1] Abramowitz, Milton, and Irene A. Stegun, eds. Handbook of Mathematical Functions: With Formulas, Graphs, and Mathematical Tables. 9. Dover print.; [Nachdr. der Ausg. von 1972]. Dover Books on Mathematics. New York, NY: Dover Publ, 2013.

[2] Evans, Merran, Nicholas Hastings, and Brian Peacock. Statistical Distributions. 2nd ed. New York: J. Wiley, 1993.

[3] Hahn, Gerald J., and Samuel S. Shapiro. Statistical Models in Engineering. Wiley Classics Library. New York: Wiley, 1994.

[4] Lawless, Jerald F. Statistical Models and Methods for Lifetime Data. 2nd ed. Wiley Series in Probability and Statistics. Hoboken, N.J: Wiley-Interscience, 2003.

[5] Meeker, William Q., and Luis A. Escobar. Statistical Methods for Reliability Data. Wiley Series in Probability and Statistics. Applied Probability and Statistics Section. New York: Wiley, 1998.

[6] Marsaglia, George, and Wai Wan Tsang. “A Simple Method for Generating Gamma Variables.” ACM Transactions on Mathematical Software 26, no. 3 (September 1, 2000): 363–72.https://doi.org/10.1007/978-1-4613-8643-8.

参考

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